ミッドナイト・バス (2017):映画短評
ミッドナイト・バス (2017)日本版『マンチェスター・バイ・ザ・シー』とも言いたくなる
新潟の雪景色が澄明で美しい。昔(昭和50年代とか)なら高倉健主演で、監督は降旗康男――とでもいった古風な映画のフォルムが、原田泰造を始めとする各世代キャストの持ち味(原作とイメージは異なるが、とても良い配役)、細部の演出等で巧く現代的にスライドされる。監督は異色ミステリー『ジャンプ』(04年)の竹下昌男。変化球もこなせる人が直球を全力で投げた。
各々岐路に立たされた者たちが、「次」に行くための区切りや決別に向かうドラマには心地良い吸引力があり、長尺ながら彼らの「この先」が気になってしまう。脚本・加藤正人は長距離バスをモチーフに二つの逸品(『彼女の人生は間違いじゃない』と本作)を書いたわけだ。
この短評にはネタバレを含んでいます