やさしくなあに ~奈緒ちゃんと家族の35年~ (2017):映画短評
やさしくなあに ~奈緒ちゃんと家族の35年~ (2017)観ながらずっとドキドキしていた。
良心作である以上に衝撃作。『6才のボクが、大人になるまで。』は12年だが、こちらは35年。奈緒ちゃんシリーズの第四作として、相模原市の施設で起きた事件を契機にまとめられた。だがこれは最上の意味で「まとまっていない」。えらく複雑な家族のリアルストーリー。父、母、弟、奈緒ちゃん。彼らの見え方、生の形は意外な反転を繰り返し、ずっと固定しない。誰の人生だってそうだ。いつ、何が起こるかわからない。
これだけ長いスパンの記録を110分に収めることで、表現の奇跡すら感じさせる生々しい人生の凝縮体ができあがったと思う。今年も優れたドキュメンタリー映画をたくさん観たが、本作は最も印象的なもののひとつである。
この短評にはネタバレを含んでいます