ダンシング・ベートーヴェン (2016):映画短評
ダンシング・ベートーヴェン (2016)天才振付家の名作を復活させ、ラストは祝祭的な盛り上がり!
モーリス・ベジャールの封印された振付作品を、東京で上演する一大プロジェクトを追った今作だが、公演日が近づいていく盛り上がり感と、映画作品が終盤に向けてテンションが上がっていく感じが、完璧にシンクロ! すべてがひとつになる東京での怒濤のクライマックスに観る者は呑み込まれる。
メインダンサーの妊娠や、予期せぬケガによる生々しい舞台裏も見どころだが、リハーサルのシーンと実際の舞台を巧みにつなぐ編集など、ドキュメンタリーとしての洗練度も高い。そして何より、他の振付家と一線を画す、ベジャールの斬新な肉体の動かし方に改めて感服。美しさだけではない、心ざわめく妖しい人間の表現を、随所で発見できるはず。
この短評にはネタバレを含んでいます