5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~ (2017):映画短評
5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~ (2017)ライター2人の平均評価: 3.5
単なる感動ものに終わらない実録サクセスストーリー
病気で視力の95%を失った若者が、ホテルマンになるという夢を叶えるため、視覚障害を隠して一流ホテルの研修課程に挑むという実話の映画化だ。
諦めなければ夢はきっと叶う。そんな使い古された文句に集約される話だが、しかしその道程は極めて過酷だ。まさに「言うは易く行うは難し」。あなたなら自分の夢を叶えるため、どれだけの覚悟を持って努力できるか?そんな問いを観客に投げかける。
とはいえ、語り口はどこまでも明朗快活。若者は周囲の人々の善意に支えられ、固い友情や淡い恋愛を経験しながら試練を乗り越えていく。それでも単に心地良いだけの感動映画で終わらないのは、事実に裏打ちされたリアリティの賜物だろう。
夢に向かって突き進めた精神力が眩しい
視力の95%を失ったことを隠し、ハンディキャップを持たない人同様のキャリアを築いた男性の実話からインスパイアされた物語が教えてくれるのは、夢を叶えるために全力で頑張ることの大切さ。人生の現実が見える思春期あたりから「身の丈にあった人生を送れれば御の字」と大それた夢など持たぬようにしてきた身としては、主人公サリーの前向きさや不屈の闘志が本当に眩しい。といっても脚本はシリアス一辺倒ではない。目が見えないから起こるハプニングあれこれをコミカルに描くことでライト感覚に仕上がっているのが好感度高し! 家族を捨てる父親のエピソードは物語を盛り上げるために挿入されたように唐突で、これは不要だったな。