サファリ (2016):映画短評
サファリ (2016)閲覧注意ながら絶対必見
『パラダイス三部作』(とりわけ『愛』篇)のザイドル監督が、アフリカで運営されている動物の命を奪うゲーム――トロフィー・ハンティングの実態を取材した傑作だ。狩猟に興じる白人たち。獲物解体に従事する現地の黒人たち。そこには明確な階層が認められるが、単純な社会風刺にはとどまらない。蕩尽的な遊びに耽る白人ハンターの証言には「哲学」が盛られ、その先にはヘミングウェイもバタイユもニーチェも待っているだろう。
本作を貫くのは中立的な視座、というより、人間の業と欺瞞の間をどこまでもぶっ刺していく鋭利な意見といった感じだ。キリン登場からのショッキングな映像など、無言で厳しい問いを突き付けられている気分になる。
この短評にはネタバレを含んでいます