ガーディアンズ (2017):映画短評
ガーディアンズ (2017)ライター2人の平均評価: 3
突っ込みどころを楽しむのが正解のロシア版『X-MEN』
ロシア版『X-MEN』というか、ロシア版『アベンジャーズ』というか。全編これマーベル映画のパクリだらけ。VFXの技術的なレベルは予想以上に高いのだが、いまひとつ垢抜けない演出や要領を得ない大雑把な編集は、この種のハリウッド的エンターテインメント映画の伝統が存在しないロシアゆえの弱点とも言えよう。
ただ、冷戦時代のソ連で開発された超人戦士たちが現代ロシアの危機を救うというストーリーは、いかにもプーチン政権下の映画らしくて興味深い。ロシア版ウルヴァリンが変身するとただのクマだったりするのも笑える。いろいろと突っ込みどころは満載だが、その辺りをやんや言いながら楽しむのが本作の場合は正解だろう。
ロシアのスーパーヒーローは熊に変身する
確かに、熊は珍しい。ミュータントのヒーロー4人のうちの1人を動物系にするとして、その1種類しか登場しない動物を"熊"にするのは、ロシアならではの発想だろう。4人中の1人がカザフスタン出身という設定でアジア系の風貌をしているのも、ロシア式と言えそうだ。しかし、より興味深いのはむしろ、それ以外はハリウッド製のスーパーヒーロー映画と違いがないという点なのではないだろうか。こちらも「X-MEN」「X-ファイル」と同じスーパーソルジャー計画で、遺伝子操作で、マッド・サイエンティスト。VFXも、質感は硬いが派手さでは負けてない。ここから先のロシア製SF映画がどんな世界を見せてくれるのか楽しみになる。