スリープレス・ナイト (2016):映画短評
スリープレス・ナイト (2016)ザラついた感覚で圧倒するサスペンス
ドラマの8割以上は、息子をさらわれた主人公の一夜の奔走劇。そんな限定的設定が活かされ、息詰まるような空気がよく出ている。
フランス製の元ネタ映画と同様に、ストリート感覚が脈づいており、セット撮影によってとらえられた熱気や、屋外撮影による力強さが映える。アップテンポの展開も魅力で、『ピエロがお前を嘲笑う』でも歯切れの良い演出を見せたオダー監督の手腕に改めて唸った。
偶然が続きすぎるきらいもないではないが、ジェイミー・フォックスのタフな熱演を見ていると、それも気にならない。彼が演じる主人公の叩き上げ感も味で、とにかくあらゆる点にザラついた荒々しさが宿る。気骨を感じさせるサスペンスだ。
この短評にはネタバレを含んでいます