OVER DRIVE (2018):映画短評
OVER DRIVE (2018)ライター2人の平均評価: 3
観客の欲するものを見せるという、『海猿』の監督らしい感覚
この映画に観客が求めるもの。それは真剣佑や東出昌大のカッコよさという人もいるかもしれないが、それ以上にカーレースの興奮だろう。その前提で観れば、演出や構成は極めて真っ当。スピード感や激しいドライビングテクを、人間の目線に頼らず、クルマの動きでダイナミックに表現する、羽住監督らしい勢いに酔える。少年時代の子役の雰囲気が、大人のキャストに近いなど、細部にも手抜きはない。
重要キャラが活躍しそうでしなかったり、後半、どうでもいい存在になったり、そのあたりには目をつぶっても、見せ場でアドレナリンを上げる今作の最大の目的は十分に達成される。後味は、すっきり爽やか。こういう日本映画がもっと増えてほしい。
真剣佑マジックに酔え!
哀川翔の『SS/エスエス』など、これまでもラリーを扱った日本映画はあったが、羽住英一郎監督作だけに、ザッツ・ハリウッドなアプローチ。ドローンを活用したダイナミックな撮影に、兄弟やライバル、相変わらずミスキャストな森川葵演じるヒロインなどのキャラ、強引に感動へ持っていく展開など、ベタの応酬だ。とはいえ、『パシリム2』では残念な結果に終わった新田真剣佑主演作として観ると、見え方が変わってくる。日本人がやると、様にならない何気ない仕草やポージングを決めまくり、スターオーラが出まくっているのだ。そんな真剣佑マジックは、吉田鋼太郎ら、あの『ワイルド7』のキャストが放つ負のオーラが消えてしまうほど!