ラッカは静かに虐殺されている (2017):映画短評
ラッカは静かに虐殺されている (2017)ライター2人の平均評価: 4.5
命を懸けて真実を伝える人々の姿にジャーナリズムの真髄を見る
シリア内戦でイスラム国に制圧された街ラッカで、その悲惨な現実をスマホ片手に取材し、SNSを通して世界に発信する市民ジャーナリスト集団「ラッカは静かに虐殺されている」の活動に肉薄したドキュメンタリーである。
道端には爆撃による犠牲者たちの遺体が転がり、広場ではイスラム国による公開処刑が繰り返され、誰もが死の恐怖に怯えながら生活するラッカの人々。目を覆いたくなるような映像も少なくない。
そうした惨状を伝える記者たちも見つかれば即刻銃殺。国外へ逃れた仲間たちにも「イスラム国」シンパの魔手が迫り、命の保証はない。それでもなお、真実を伝えることを諦めない彼らの姿にジャーナリズムの真髄を見る。
真実を伝えること。それが生きること
米軍などによる新たな攻撃で、深刻を極めるシリア情勢。ある意味でタイムリーな作品だが、フォーカスするのはシリアの勇士たちのジャーナリズム精神である。ISが制圧したラッカでの映像には何度も目を覆いたくなるが、全体的には冷静な視点が貫かれ、この監督の前作『カルテル・ランド』のような、作品としての激しさは抑えられている。
決死の思いでラッカに残って現実を伝える覚悟。国外で拠点を作ってもつねに命を狙われる恐怖。それらがタイトルに重ねるように、静謐に、じわじわと迫ってくる。なぜこのような運命に生まれたのかと嘆きつつ、使命感を受け止め、仲間の死に思わず全身が震え出す彼ら。その瞬間、こちらの背筋も凍り付く。