ヒトラーを欺いた黄色い星 (2017):映画短評
ヒトラーを欺いた黄色い星 (2017)歴史というフレームの中、個人はあの手この手で生きる
家族でドイツを離れ、アムステルダムに移住して約2年の隠れ家生活を送ったのがアンネ・フランクの悲劇だが、一方最も危険なはずのベルリンには7000人ものユダヤ人が潜伏し、なんと1500人が生き延びた。戦後70年経ち、その中の4人の貴重な証言を再現ドラマで補完した構成が秀逸。
ポイントは青春映画でもあること。当時16歳~20歳だった彼らのエピソードは「若さ」ゆえの屈託なさも際立つ。その意味で『ルシアンの青春』や『僕を愛したふたつの国』等に隣接するナチス下の風景とも言えるだろう。市民社会を覆う疑心暗鬼の嵐と緊迫のサバイバル。この混沌から人間の愚かさと賢さ、狂気と希望の両面を一気に学ぶことができる。
この短評にはネタバレを含んでいます