七つの会議 (2018):映画短評
七つの会議 (2018)ライター2人の平均評価: 4
“あんこギッシリ鯛焼き”状態
主人公は違えど、NHKドラマ版でも1時間×4回で放送された池井戸潤の原作。それを119分で描くのは、『空飛ぶタイヤ』ぐらい事象に寄せた脚色をしないかぎり難しい。そんななか、「日曜劇場」枠での池井戸作品でおなじみの福澤克雄監督は、ガチでやってくれた! 頭の先から尻尾まで、“あんこギッシリの鯛焼き”状態で、観る者を休ませない。そんな目まぐるしいほどの展開に加え、豪華キャストが入り乱れるグルーヴ感は、「日曜劇場」では味わえない高揚感をも生み出す。おなじみ、歌舞伎を意識した過剰演出に加え、及川光博と朝倉あきが織りなす“探偵ごっこ”感も、笑いを誘うスパイスになっている。
過剰さもここまでやられると心地よい
顔芸ともいえる過剰な芝居やドラマ性を煽りまくる演出は好みが分かれるだろうが、キャスト陣も演出も、「半沢直樹」以降のTBS日曜劇場枠で定番となった池井戸潤原作の社会派エンタメの劇場版といった趣なので、同シリーズが好きな人には楽しめるはず。
過剰すぎて笑ってしまうところもあるが、もはや確信犯だとも思うので、やりすぎをツッコミながら観るのも面白い。ここまで徹底してやられると気持ちがいいし、役者同士の芝居合戦も見応えがある。
会社員の悲哀のようなものは誰もが身につまされるし、以前にNHKで放送されたドラマ版とは主人公も変えているので、同作を観た人も新鮮に観ることができるだろう。