英国総督 最後の家 (2017):映画短評
英国総督 最後の家 (2017)ライター2人の平均評価: 3.5
人間を隔てるものは何かと考えさせる歴史ドラマ
重厚な歴史ものだが、G・チャーダ監督はロマンスを加えて幅広い層にアピールする。政治家の裏工作に利用された形のインド最後の総督夫妻と、民族対立に翻弄される若い男女の2本軸は『ダウントン・アビー』風。実務的な能力に欠けた貴族役がよく似合うヒュー・ボネヴィルがマウントバッテン卿を上品に演じていて、好感度大。もちろんインド・パキスタン分離独立の背景や過程は実に興味深く、歴史の1ページを自分の目で見た気分になれる。監督は宗教の違いが壁となるカップルに現在の世界情勢を投影しており、ふたりの行く末を明かすエピローグは監督が世界に伝えたいメッセージのはず。ロケに使用した元マハラジャの居城の豪華さも必見!
歴史を描きつつ、青年の恋も英国魂も描く娯楽作
第二次世界大戦後、英国が植民地インドを去ることになった時、どんなことが起きたのか。本作はそれを、英国人のインド総督の視点ではなく、総督の個人秘書を務めるインド人青年の視点から描く。しかも監督は「ベッカムに恋して」のグリンダ・チャーダ。彼女はケニアのインド人家庭で生まれ、2歳でロンドンに移住したが、彼女の祖母は実際に映画で描かれたように、パキスタン建国の影響でインド国内を大移動したという。
そういう歴史を描きつつ、青年秘書の恋も描く娯楽作仕様。当時の豪華な英国領事館の様子がたっぷり味わえ、「ダウントン・アビー」のヒュー・ボネヴィル演じる総督が、英国紳士らしい気概と気品を発揮してくれる。