ポップ・アイ (2017):映画短評
ポップ・アイ (2017)まさに「旅は道連れ、世は情け」。
巨大な象とワケあり男が、てくてく歩いて旅をする。かつてバンコクじゅうに名を馳せたが尾羽打ち枯らせた建築家と、路で出会った象(まあ、そこはバンコクだしね)が「世間なんてクソくらえ、二人で生きよう」と家出する。目指すは故郷のタイ東北部、500キロの道中で出会うのは、自らの死期が近いと悟った元気なホームレスとその“妻”、仕事やる気があるのかないのか判らん二人の警官、客の車から叩きだされた中年オカマ、その町いちばんの娼婦…いずれも哀愁と悲哀の陰がある。そんな何とも珍妙な人物たちが、象の背中でピンクのパラソル差したおっさんの旅を彩る人情コメディだが、オフビートかつポップ。風通しの良さが素晴らしい。
この短評にはネタバレを含んでいます