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ヒトラーと戦った22日間 (2018):映画短評

ヒトラーと戦った22日間 (2018)

2018年9月8日公開 118分

ヒトラーと戦った22日間
(C) Cinema Production

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

中山 治美

ヒトラーとは直接戦ってないけどね

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

ナチスがテーマだが、主たる製作国も、監督・主演もロシアというのが今までと違う
捕虜にしたソ連兵まで絶滅収容所に送られており、その彼が中心で起こしたソビボル絶滅収容所蜂起事件を描いている。
ともすれば英雄伝になりがち。
だが映画としての見せ場も用意しつつ、あの地で最後まで生きようとしていた人たちの人生を浮かび上がらせるドラマ部分とのバランスが良い。
その冷静な演出の根底に流れているのは静かな怒りか。
要因は、蜂起したその先にあった事実を知らしめるエンディングテロップを読めば納得だ。
戦争の残虐さは言わずもがな、容易に巻き込まれて鬼畜と化する人間の恐ろしさを改めて知らしめている。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

歴史の闇に埋没させてはいけない事実は絶対にある

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

最近もロヒンギャ問題が取り沙汰されるが、民族浄化と聞くと心底ゾッとする。誰もが知る民族浄化が第二次多選中にナチスドイツが行なったユダヤ人撲滅作戦で、それに組織的に抵抗した収容者がいたと本作で初めて知った。ソ連軍人サーシャを軸に収容所内の人間関係や主要人物の背景を簡潔に描き、観客にある種の仲間意識を植え付ける監督の演出にまず吸引力がある。ドイツ軍人の描写が醜悪すぎるきらいもあるが、戦争が人間を狂気に追いやることの証明だろう。脱走計画の進行とともに見る側の緊張感も増すので、クライマックスのカタルシスは半端なし。それにしても、歴史の闇に埋もれた事実は実はたくさんあるのだろうなと思わせる。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

反戦とバイオレンスを両立させた任侠映画的娯楽作

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 物語の3分の2以上は強制収容所内のナチスの残虐行為と、耐え忍ぶユダヤ人の悲劇。そしてラスト30分は後者の反撃が展開するカタルシス。反戦映画ではあるが娯楽作としても面白い。

 全裸にされた女性たちの大虐殺場面からして目を覆うほどだが、その後も理不尽な体罰と暴力、処刑の描写が連なり、ナチスの非人間性は嫌というほど伝わってくる。

 それだけにクライマックスのインパクトは大きく、将校をひとりずつ惨殺するバイオレンスは強烈だし、”俺が奴を殺す“と決意させるにいたる復讐心も熱い。構造的には「昭和残侠伝」シリーズなどの往年の任侠映画を思わせる。監督兼主演のK・ハベンスキーが発するストイシズムも妙味。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

数あるホロコースト映画の中でも群を抜く衝撃

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 アウシュビッツと並ぶナチスの強制収容所ソビボルで起きた反乱劇の実話を描くロシア映画だが、思わず目を背けたくなるほど惨たらしい場面が続く。人間が人間に対してかくも残酷になれるのか。数あるホロコースト映画の中でも群を抜く衝撃だ。「生産性」で明暗を分けるユダヤ人収容者たちの運命、己の残虐行為を責任転嫁する権力者、差別の常態化で人権意識が麻痺した兵士たち、自分も被差別者なのに僅かな特権で権力側について同胞を虐待する監視役ユダヤ人、どこか既視感を覚える光景も多い。現代ではあり得ない、自分ならこんなことに絶対に加担しない、だが果たしてそう言い切れるか?憎悪と分断が広がる今だからこそ見るべき映画だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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