ナチス第三の男 (2017):映画短評
ナチス第三の男 (2017)善にも悪にもなり得る人間の危うさ
ヒムラーに次ぐナチス親衛隊のナンバー2として、ホロコースト計画を推進したラインハルト・ハイドリヒ。政治に無関心な一介の軍人だった彼が、なぜ冷酷なナチス狂信者となったのか。愛情深い夫、心優しき父親、血も涙もないファシスト。3つの顔を持ったハイドリヒの軌跡を振り返ることで、善にも悪にもなり得る人間の危うさや愚かさが浮かび上がる。と同時に、そんなハイドリヒを倒すため自らの命を捧げたチェコ人レジスタンスの姿を後半に描くことで、正義と理想に殉じる人間の崇高さにも光を当てる。全編セリフが英語なのは違和感あるし、テレビ映画的な仕上がりであることも否めないが、それでもなお見応えのある秀作だ。
この短評にはネタバレを含んでいます