キックス (2016):映画短評
キックス (2016)おれのスニーカーを踏むなよ
ベイエリアの黒人コミュニティのお話ながら、カール・パーキンスの「ブルー・スウェード・シューズ」に着想を得たような内容。小柄で貧乏で弱っちく、いつも妄想の宇宙飛行士と共にいる少年が、伝説のモデル、ナイキのエアジョーダン1ブレッド(150ドルなら2016年の復刻?)を手に入れる。だが地元きってのヤバい男に狩られてしまう……。
「男になる」系の通過儀礼的な成長譚だが、ボンクラ三人組の友情(監督は『グーニーズ』が大好きらしい)など柔らかな味。赤ん坊の隣に拳銃が置いてあるリッチモンドのハードな世界をセンシティヴな眼で見つめる。『ムーンライト』等と共にブラックムービーの成熟と多様化を感じる拾い物の佳作。
この短評にはネタバレを含んでいます