おとなの恋は、まわり道 (2018):映画短評
おとなの恋は、まわり道 (2018)ライター3人の平均評価: 2.7
獣になった私たち
まさに『或る夜の出来事』な王道パターンのうえ、ウディ・アレンや『ビフォア・サンライズ』シリーズからの影響もかなり強い。よって、二人だけに焦点を絞ったリゾート・ウェディング招待客あるある映画にしては、オリジナリティは皆無に等しい。とはいえ、4度目の共演にしては、妙に新鮮なキアヌとノニー(死語)の掛け合いは、やはりたまらない、というか胸に来るものがある。ピューマを威嚇するキアヌに、終始不機嫌なノニー。タダ券使って足マッサージからの、青空の下、野獣になってしまう2人。とにかく、脂の乗り切った二人の芝居を堪能できる一本なので、2人のファンだった人ならマスト!
自己愛が強すぎる男女の運命的な出会い、なのか?
キアヌ・リーブスとウィノナ・ライダー共演のラブコメなのだが、笑えない。定番のミート・キュートもキュートというには印象悪すぎ。さらに双方ともに押しが強く、頑固で、協調性ゼロ。自己愛が強い男女が己の意見を延々と述べるので、物語が進むにつれ、頭がクラクラし始める。大量のセリフをまくしたてる役者の根性と努力は買うが、彼らの言葉にリアリティはあるのかと疑問符が頭に浮かぶのだ。そして、ロマンティックな状況のはずなのにエロスのかけらもない場面には特に驚愕。ずっと喋りっぱなしのウィノナを相手に「キアヌ、よく萎えないな」と関心しきり。アラフィフの恋愛とはいえ夢がなさすぎだし、まとめ方もちょっと強引すぎ。
主演2人の肩に力が入ってない感じが心地よい
主演の2人、キアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーが、ヒーローやヒロインを演じていた時代を知っているなら、いっそう味わいが深くなる。いろいろあったが、キアヌは「ジョン・ウィック」で、ウィノナはTV「ストレンジャー・シングス 未知の世界」で復活。そんな2人が久々に共演、もう若くないのに性格をこじらせたままの男女をコミカルに演じて、その肩に力が入ってない感じ、ゆるい感じが心地よい。そして、2人が演じる役がイケメンでも美女でもなく、かなり困った性格のキャラなのに、ちゃんとキュートで魅力的に見えるところが感動的。これは演技力なのか、それとも本人たち自身の人柄なのか、その境目が分からなくなるような。