ヴィクトリア女王 最期の秘密 (2017):映画短評
ヴィクトリア女王 最期の秘密 (2017)ライター2人の平均評価: 3
誰も知らなかった女王の孤独と老いらくの恋
ヴィクトリア女王とインド人事務官アブドゥルの友情以上恋愛未満の関係に驚くとともに、宗主国のスノッブさや女王の孤独がひしひしと伝わってくる。絶対的権力者ゆえに腫れ物のように扱われ、苛だたしい日々に突然出現したエキゾチック美男子に心動かされる女王が可愛い。差別意識むき出しの周囲と違って、新しい文化を貪欲に吸収する女王のオープン・マインドが素敵だ。S・フリアーズ監督は二人の関係をユーモラスで温かく、周囲との軋轢を寒々と描き分ける。J・デンチがフ再び女王を演じるので、『Queen Victoria/至上の恋』の続編的な趣もある。劇中で女王が亡き夫と従僕ジョンを恋しがるセリフもあるので、なおさら。
ジュディ・デンチの女王役にハズレなし
カッコイイ老女役なら、ジュディ・デンチにお任せ。とくに威厳がありお茶目でもある女王役は得意技。「恋に落ちたシェイクスピア」のエリザベス女王役も、今回2度目のヴィクトリア女王役もお似合い。97年の「Queen Victoria 至上の恋」ではスコットランド人の従僕ジョン・ブラウンとの、本作ではブラウンの死後のインド人従僕アブドゥル・カリームとの友情が描かれるが、どちらも女王が建前しか言わない周囲の中で本音を言ってくれる従者を愛したという物語。スティーブン・フリアーズ監督が、彼のTV「英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件」同様、英国上流階級のいやらしさを笑いとともに描いてくれる。