あした世界が終わるとしても (2019):映画短評
あした世界が終わるとしても (2019)現代日本の漠然とした不安と危機感を描いた青春SFアニメ
これはなかなかユニークなオリジナル・アニメだ。第二次世界大戦を境として、平和な民主主義国家としての道を選んだ日本と、反対に全体主義の独裁国家としての道を歩んだ並行世界の日本が同時に存在するという設定のもと、平凡な高校生とそのドッペルゲンガーが、あちら側からの侵略に立ち向かう。一見して何事もなく平和なように見える現代日本社会の、それでも確かにそこに存在する漠然とした不安や危機感のメタファーとして、この突飛な設定が上手く機能している。青春ドラマとしてもSFアクションとしても見応えあり。とことんまでリアリズムを追求したCGアニメーションの表現力も素晴らしい。
この短評にはネタバレを含んでいます