MOST BEAUTIFUL ISLAND モースト・ビューティフル・アイランド (2017):映画短評
MOST BEAUTIFUL ISLAND モースト・ビューティフル・アイランド (2017)NY、地上も地下も地獄
マンハッタンの安アパートに住む不法移民のヒロイン。彼女がバスルームに入っていると、赤い壁から大きな虫がいっぱい湧いて出てくる……。初期アベル・フェラーラを彷彿させる、都市の闇から膿が噴き出すような現実と幻覚が混濁した感覚。本作の地獄めぐりは、スペイン出身アナ・アセンシオ監督自身の実体験を基にしたものだという。
後半部にもライン超えの眩惑に導く演出や発想があればと思うが、例えば『ホステル』的な突き抜け方を避けたのが、監督の選んだ“告発的リアリズム”なのもしれない。ここでグロテスクに描かれる「白人と移民の関係」は、ウルリヒ・ザイドルが『パラダイス:愛』や『サファリ』で提示したのと同質のものだ。
この短評にはネタバレを含んでいます