リヴァプール、最後の恋 (2017):映画短評
リヴァプール、最後の恋 (2017)状況は劇的だが静かに募る想い。往年の恋愛映画の美しき味わい
年齢の離れた二人の恋。そして邦題が示すとおり(原題も別の意味で同じ)の、悲しい別れを予感させる恋。はっきり言って、使い古されたネタが基本ながら、その「年齢差」「最後」をことさら強調せず、主人公2人の想いの高まり、その想いを抑える切なさに徹し、心の奥に静かに沁みわたるラブストーリーになった。しみじみとした味わいに物足りなさを感じる人もいるだろうが、まだ人生の先が長いのに、これが自分にとって最後の恋だと自覚するジェイミー・ベルの、あるシーンの表情に『リトル・ダンサー』からの彼のキャリアが渾身レベルで凝縮された。時代背景に合わせたような、最近あまり見ないクラシックな佇まいも、観た後の余韻を長くする。
この短評にはネタバレを含んでいます