ヨーゼフ・ボイスは挑発する (2017):映画短評
ヨーゼフ・ボイスは挑発する (2017)肉体に宿る思想を生々しく追体験する
「彼の死に悼みを感じているのは、彼の芸術愛好者よりも、西ドイツ社会を舞台にした政治・芸術的パフォーマンスの表現者としてのボイスに共感を抱き、喝采を送っていた人達である」――『月刊イメージフォーラム』86年4月号、ヨーゼフ・ボイス追悼特集における福沢啓臣氏のテキストから。本作の主題はこれに尽きる。ボイス自身の勇姿と肉声を差し出し、伝説の場から現在のリアルへと召喚する試み。彼の生の運動そのものが芸術の拡張の実践であり、筆者が少年の頃に見て薄ら記憶にあるスーパーニッカのCMもその一環だったわけだ。
「社会彫刻」との魅力的な概念は永久革命の意思に接続するだろう。とりあえず岡本太郎ファンは必見かと。
この短評にはネタバレを含んでいます