魂のゆくえ (2017):映画短評
魂のゆくえ (2017)静かな筆致で魂の遍歴を描く
物語が終わると、映像と音声が突然途絶えて画面が真暗になり、それから画面にクレジットの文字が流れ始め、耳にはかすかに風の音が聞こえてくる。その風は、遮るもののない荒野を吹きすさんでいる。このとき脳裏に見えてくる光景が、ポール・シュレイダー監督が描きたかったものなのではないか。
物語は終始、抑えた色調の静かな映像で描かれる。主人公は、自分の過失や弱さや不安に、まっすぐに向き合うことを決め、それを毎日日記に書く。安易な逃げ道も見えるがそれを自分に禁じる。そしてどんどん身動きが取れなくなっていく。そこに突然、思わぬ形で救いがやってくる。主人公のその体験が、台詞ではなく映像で描写されている。
この短評にはネタバレを含んでいます