閉鎖病棟-それぞれの朝- (2019):映画短評
閉鎖病棟-それぞれの朝- (2019)『愛を乞うひと』を思い起させる容赦ない演出が刺さる
いきなり、死刑執行シーンから始まるヘヴィさ。何気ない顔して、患者相手に商売しているなど、『楽園』に続いて、綾野剛の読めない芝居もさることながら、8キロ減量で挑んだ笑福亭鶴瓶の芝居が圧倒的だ。原作では肝だったはずの演芸会をカラオケ大会に脚色してしまうなど、今回初めて脚本も手掛けた平山秀幸監督の迷いも見えるが、あの原作を117分でまとめたことは評価したいし、『愛を乞うひと』を思い起させる容赦ない演出がとにかく刺さる。小松菜奈映画として観ると、若干弱さも感じるが、久々に“殺したくなるほどのワル”を魅せてくれる渋川清彦など、ベテラン勢に囲まれて、あの健闘は認めたいところ。
この短評にはネタバレを含んでいます