99歳 母と暮らせば (2018):映画短評
99歳 母と暮らせば (2018)キャッチボールとしての会話
このドキュメンタリーは「会話劇」とジャンル分けしたくなる。とぼけた掛け合いを交わしながら、白寿の母を70歳過ぎた息子=監督が介護する。むろん赤裸々な場面も多々映し出され、監督が「トホホな出来事」と呼ぶハードな現実は隠しようがないのだが、印象が明るい。親子のお人柄もあるだろうが、とにかく二人はよく喋るのである。
日常で話をすることが精神活動においていかに大切なことか。我々凡夫が学べるのは、何よりこの人間同士の良好なコミュニケーションの基本の尊さではないか。昨年の『ぼけますから、よろしくお願いします。』が、ある種ハードボイルドな姿勢で人間の宿業を鋭利に浮かび上がらせたのとは対照的に思える。
この短評にはネタバレを含んでいます