パージ:エクスペリメント (2018):映画短評
パージ:エクスペリメント (2018)ライター2人の平均評価: 3.5
逃げだけじゃない! 戦う12時間への進化
なるほど、そう来たか…と思わずにいられない。史上初のパージ、すなわち時系列的には前日談なのだが、そのアイデアが活きた。
あるスラム街限定で試験的に行なわれたこのパージ。政府としては何が何でも成功させ、反対意見を封じ込めたいワケで、そのために軍も武器も投入。しかしスラムの住人にも意地がある。殺されてたまるか!という闘争心が物語の肝だ。
シリーズ過去3作は12時間のサバイバルに重点が置かれていたが、今回はむしろ”戦い”。シリーズのマンネリ化を避けるうえで効果的なばかりか、そこには確かに熱いものが宿る。アパート内の死闘が展開するクライマックスは『ザ・レイド』をほうふつさせ、燃えた!
ブラックスプロイテーション感満載の「エピソード・ゼロ」
フランク・グリロの“12時間”というべきアクション・ヒーロー映画へと進化を遂げていったシリーズだが、仕切り直しの「エピソード・ゼロ」といえる本作では、監督が『フルートベール駅で』のプロデューサーにバトンタッチ。そのため、主要キャラを演じるキャストのほとんどが黒人という、ブラックスプロイテーションの趣に。ドラッグの元締め暗殺計画やサイコパスの暴走などが起こるなか、新実験を仕掛けた政府の陰謀が明らかになっていくわけだが、舞台がスタテン島だけに、『バトルロワイアル』<<『ニューヨーク1997』オマージュ強し。シリーズの軸はブレていない一方、一見さんにも優しい作りになっている。