アナベル 死霊博物館 (2019):映画短評
アナベル 死霊博物館 (2019)ライター4人の平均評価: 3.3
今後登場を予感させるキャラ&アイテム続々!
グロ描写なしで、『gifted/ギフテッド』の名子役、マッケンナ・グレースなど、美少女3人を徹底的に怖がらせる“ホラー版『ホーム・アローン』×『学校の階段』”。『死霊館』ユニバースおなじみの超常現象研究家のウォーレン夫妻は登場するが、単品で楽しめる一見さんにも優しい作りで、お化け屋敷感が濃厚。しかも、監督のゲイリー・ドーベルマンは『IT/イット』の脚本家でもあることから、ボンクラ男子を加えた青春ホラーとしての見応えもアリ。アナベル以外にも、フェアリーマンや鬼侍、運命テレビ、懐かしの手探りゲームなど、ユニバース入りを予感させるキャラ&アイテムもチラ見せし、マニア心を煽ってくれる。
基本はオーソドックスな幽霊屋敷もの
『死霊館』シリーズのスピンオフ『アナベル』シリーズの最新作は、過去作品で脚本を手掛けてきたゲイリー・ドーベルマン(『IT/イット』シリーズも担当)の監督デビュー作でもある。心霊研究家ウォーレン夫妻の邸宅で、ふとしたことから地下の博物館に封印されていたアナベル人形が解き放たれ、留守番を任された愛娘とベビーシッター、その親友の3人の少女たちに悪霊の群れが襲いかかる。脚本はかなり趣向を凝らしているものの、全体的な仕上がりはオーソドックスな幽霊屋敷もの。そういう意味では、原点の『死霊館』に近いかもしれない。おのずと新鮮味には欠けるが、しかしドーベルマン監督の折り目正しい恐怖演出には好感が持てる。
『アナベル』というより、むしろ『死霊館』!?
『アナベル』シリーズ第3弾にして、『死霊館』シリーズ2.5作目とも呼びたくなるのはウォーレン夫妻の屋敷が舞台となっているからだが、主題が家族愛に置かれていることも、そう思える一因だ。
ある少女のうかつな行動により地下倉庫から悪霊が解き放たれるのだが、彼女の行動の理由に家族愛が宿り、ラストではこちらもグッと来てしまった。そういう意味では、後味は『アナベル』シリーズの残恐感より『死霊館』シリーズの感動により近い。
もちろんショック・ホラーとしての見応えは十分だし、サバイバル・スリラーとしても優れている。サバイバーを女の子3人に絞った効果により、展開はソリッドになり、最後まで目が離せない。
少女たちの無防備さ、ひたむきさがまぶしい
「アナベル 死霊館の人形」「アナベル 死霊人形の誕生」の脚本を書いてきたゲイリー・ドーベルマンが、今回は脚本だけでなく、初の監督業に挑戦。となれば、これまでの2作では満足できず、自分の手で描きたいものがあったからだろう。それが"少女ならではの危うさ"なのではないか。
前2作は死霊人形アナベルの物語だったが、今回のヒロインは、小学生の少女とそのベビーシッターの女子高生2人。大人がいない家で一晩過ごす少女たちの無防備さ、熱意のひたむきさ、それらが招く危うさが、たっぷり描かれていく。舞台が'70年代なので、当時のデザインの衣服が腕や脚を大きく露出させ、少女たちの無防備さを際立たせている。