ニューヨーク 最高の訳あり物件 (2017):映画短評
ニューヨーク 最高の訳あり物件 (2017)妻や母という型に自分を当てはめてませんか?
夫に捨てられた元妻が同居という前提に無理がないのは、NYの広大なロフト・アパートだから。業界人っぽい無機質なインテリアの部屋が、ヒロインたちの心境に合わせたように変化していくのが面白い。
性格も価値観も対極にある元妻たちを演じるカーチャ・リーマンとイングリッド・B・ベルダルは演技派らしい相性の良さで、二人の間に生まれる緊張感や言葉にならない複雑な思いを体現する。まさに行間を読ませる演技で、『ハンナ・アーレント』などで高く評価されたM・フォン・トロッタ監督のコメディ挑戦の成功の鍵と言える。フェミニズムを感じさせる作風で、女性の生き方にさまざまな選択があるというメッセージが伝わった。
この短評にはネタバレを含んでいます