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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ (2018):映画短評

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ (2018)

2019年9月20日公開 93分

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ
(C) 2018 A24 DISTRIBUTION, LLC

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.4

山縣みどり

誰にでもある“黒歴史”な時期をポップ&リアルに描写

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

思春期は大半の人にとっては黒歴史だが、SNSにどっぷり浸る今どきティーンにとっては人生を左右する重要な時期に違いない。強烈な自意識と現実のはざまで爆発寸前の主人公ケイラの言動やユーチューバーぶりが痛々しく、保護本能を刺激された。彼女を取り巻く若者も「こういう子、いる!」という設定で、青春ドラマでは脇キャラでしかない存在に焦点を当てたB・バーナム監督の慧眼! 主演のE・フィッシャーのぽっちゃり体型と鈍臭そうな存在感も効いている。ハリウッド的なハッピーが起きるわけでもなく、冴えない彼女がそれなりに現実と折り合いをつける展開がものすごくリアルだし、ケイラ世代の若者の感想が知りたい。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

中二病でも恋がしたい!USA

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『怪盗グルー』シリーズの三女・アグネスの吹替でおなじみ、エルシー・フィッシャー主演による文字通りの“中二病映画”。陰キャでコミュ障にも関わらず、承認欲求ハンパないデジタルネイティブのヒロインが体験する“悲劇”を容赦なく描いたのは、YouTuberからジャド・アパトーに見初められた新人監督だ。ルックやハッタリ先行で、微妙な仕上がりも多いA24作品のなかでも、突出した仕上がりで、その刺さり度合も『レディ・バード』超え。いろんな意味でホラー要素もあり、愛すべき一作では片づけられない、“SNS世代の『ウェルカム・ドールハウス』”。アグネス同様、こちらも芦田愛菜に演じてほしい!

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平沢 薫

生き延びるのが難しい時期はあるけど

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ああ、この気持ちは知っている---その時期を通った者なら誰もがそう思うのに違いない、中学生の頃の気持ちが、腑に落ちる形で描かれていく。使うアイテムはウェブ動画などに変化しているが、気持ちはいつの時代も変わらず、自分への低い評価と並列する根拠のないプライド、漠然とした期待と不安、よく知っていることと全く知らないことのバランスの悪さ。そんな主人公がイタイだけじゃないのは、彼女がそのままでいるのではなく、ほんの少しだけ自分の現状を認められるようになるからだろう。その"ほんの少し"の形がほろ苦くて説得力がある。生き延びるのが難しい時期はあるが、生き延びるのも悪くない、映画がそう語りかけてくる。

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斉藤 博昭

「こじらせ」なんかじゃない。これは誰もが経験すること

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

今作の紹介では主人公が「こじらせ女子」との表現も見受けられるが、確かに「こじらせ」と書けば目を引きやすい。でもこの映画の主人公ケイラの「まわりに認められたい」「けど自信ない」「なんとか周囲に追いつき、プライドを保つ」というループは大多数の人が経験することで、全然、こじらせてませんから! SNSやYouTubeとツールはアップデートされつつ、普遍的な十代の悩みという芯がブレないから、性別/年齢問わずパワフルに感情が吸引される。年上との交流で自分の美点を見出すエピソードや、親目線での関係性の難しさも軽やかに描き、もどかしくシビアな物語で、この心地よさは奇跡的。間違いなくティーンムービーの大傑作。

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猿渡 由紀

絶妙なキャスティングで語る王道ストーリー

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

タイトルのEighth Gradeは、日本でいう中学2年生。その頃ならではの微妙で複雑な心理を描く作品は前にもあったが、その普遍のテーマを、今の時代を舞台に、非常に上手く語っている。最も大きな勝因と言えるのは、エルシー・フィッシャーのキャスティング。華やかな女子たちから相手にしてもらえず、なんとか自分を変えようとしている主人公ケイラを、暗くなりすぎることなく、良い感じのチャーミングさをもって演じている。そんな彼女を理解しようと努力し、温かく接し続けるシングルファザーの視点も含まれているのも良い。肩に力の入らない、正直さを感じさせる一作。

この短評にはネタバレを含んでいます
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