新解釈・三國志 (2020):映画短評
新解釈・三國志 (2020)ライター4人の平均評価: 3.5
とりあえず深いこと考えずに楽しみましょう
これを換骨奪胎と呼んでいいものかどうかは定かでないものの、福田雄一監督が『銀魂』シリーズのノリで『三国志』を大胆に新解釈してしまったおバカ映画。それ以上でもそれ以下でもなく、次から次へと登場する豪華なキャスト陣を含め、福田監督のゆるーいテレビ・バラエティ的な笑いについて行けるかどうかで賛否は大きく分かれるだろう。もしかすると熱烈な『三国志』ファンには激オコ案件かもしれないが、とりあえず深いことを一切考えずに楽しむべき作品ではある。そういえば、香港や台湾でも劇場公開されるそうだが、そちらの反応も大いに気になりますな。
全員集合(アッセンブル)!
6年前の深夜ドラマ「新解釈・日本史」のノリで、「三國志」をやってしまう大胆な企画であり、こんなところで福田雄一ユニバースが実現! 新解釈いえども、「日本史」同様、基本的なラインはブレておらず、黄巾の乱から赤壁の戦いまでの流れを踏襲。RPG感は「勇者ヨシヒコ」「モンティ・パイソンのスパマロット」系といえるが、やたら押しの強いムロツヨシの孔明や、女好きがハンパない小栗旬の曹操のキャラやセリフがセルフパロディになるなど、楽屋落ちにニヤリ。ただ、絶世の美女で知られる小喬に山本美月を配する一方、シークレットゲストらが当時の美的感覚にツッコミを入れるなど、どこか取っ散らかっているのはご愛敬か?
「三國志」でも福田雄一の世界にブレなし
数々の英雄、豪傑、策略家が入り乱れ、多数の映画やコミック、ゲームにもなっている壮大な中国歴史小説「三國志」。それを「勇者ヨシヒコ」「HK 変態仮面」「銀魂」「今日から俺は!!」の福田雄一監督が、これらの作品と同じテイストと技法で映画化して、まったくブレない。いつもと同じトホホな笑いしかない。そこが魅力。福田作品の常連キャストが大挙出演していつものノリで演じているせいもあるだろうが、福田組には初参加のイケメン俳優たちもまったく同じノリになっているのだから、そこにはやはり何かのマジックが働いているとしか思えない。「三國志」を知らなくても、映画の中でそれぞれのキャラ説明があるので心配無用だ。
超豪華、原点回帰
壮大な歴史絵巻や、スペクタクルシーンを期待しないでください。そういう三國志ではありませんので。
エピソードの繋がりは緩やかで、どちらかというと一つ一つのシーンの中でどれだけワチャワチャとふざけることができるかを突き詰めた映画。
福田監督の初期ドラマ、映画、そして舞台作品を想起させる原点回帰を感じさせます。
ただし、そこに出てくる人は隅々までとにかく豪華絢爛。そしてついに大泉洋が登板したのも嬉しいですね。
アクションシーンについては『銀魂』『今日俺』の経験もあってか、なかなか映えます。
大変お気楽な三國志でございました。