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ジョアン・ジルベルトを探して (2018):映画短評

ジョアン・ジルベルトを探して (2018)

2019年8月24日公開 111分

ジョアン・ジルベルトを探して
(C) Gachot Films / Ideale Audience / Neos Film 2018

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

中山 治美

そしてボサノヴァの神様は、伝説を残して去った

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

個性的なミュージシャンを見慣れてきたはずだが、ボサノヴァの神様も裏切らない。2008年以降、公に姿を見せず。目撃されれば即投稿の時代にだ。監督が関係者を巡ると、出るわ、出るわの愛すべき偏屈エピソードの数々。図らずしも金と名声と地位を得てしまった男の、音楽の純度を保つための抗いか。
ヒッチコックの『レベッカ』よろしく、姿見せぬ者の人物像と胸の内を想像させる刺激的で緻密なドキュメンタリーだ。
ただ映画は、神様の本を出版した独人記者への弔い旅という二重構造になっており、本の内容が分からない者には歯痒い部分はある。
しかしオープニングといい監督の映像センスは必見だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

ボサノヴァの神様に魅せられた男の心の軌跡

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 去る7月に88歳で亡くなったボサノヴァの神様ジョアン・ジルベルト。’08年のコンサートを最後に、人々の前から忽然と姿を消してしまった彼に一目会いたいと、その行方を捜し歩いたものの、願いを果たせぬまま急逝したドイツ人ジャーナリストのマーク・フィッシャー。本作はその足取りを克明に辿りつつ、一人の熱狂的なファンの視点から偉大なアーティストの魅力を紐解くわけだが、しかし最終的に目の前に突き付けられるのは、偶像とその崇拝者との間に歴然と存在する距離や温度差だ。これはジョアン・ジルベルトの映画というよりも、その音楽の虜になってしまった男の心の軌跡を巡る作品。こういう視点の音楽ドキュメンタリーは珍しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
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