マイ・エンジェル (2018):映画短評
マイ・エンジェル (2018)母子家庭の生き辛さが浮かび上がるフランス版『誰も知らない』
生活苦に疲れ果てたシングルマザーが最愛の娘を残して蒸発し、一人残された幼い少女は自らの強い意志と本能で逆境を切り抜けようとする。浮かび上がるのは母子家庭の生き辛さだ。舞台は避暑地として有名なコートダジュールだが、しかし夏休みが終わって観光客が姿を消した途端、人心の荒んだ貧しい地域社会の日常が頭をもたげる。弱者である母子家庭へ向けられる偏見の目も冷たく厳しい。もちろん母親の行動は責められて当然だが、しかし誰よりも大切な娘の育児を放棄してでも、過酷な現実から逃げたくなる気持ちも理解できる。大人にならざるを得ない少女の心理もまた哀しく切ない。日本でも似たような光景があちこちにあるはずだ。
この短評にはネタバレを含んでいます