キューブリックに愛された男 (2016):映画短評
キューブリックに愛された男 (2016)天才にとことん頼られた普通人から見た天才。
スピード狂だった“天才”にひょんなことからお抱え運転手に雇われ、滅私奉公に近い関係になった元F1レーサー、エミリオ・ダレッサーノの物語。『バリー・リンドン』撮影の5年弱、ロンドンとアイルランドをひっきりなしに往復させられ、レーサーとしての道を断念させられたあげく、けっきょく事務所の管理人のようにこき使われるようになる彼。それでも「映画人ではない」という一点で“天才”の優しさがあちこちに垣間見えるところが知られざるところだ。職を退いてイタリアに移住するも、生きがいを失ったエミリオが『アイズ ワイド シャット』の現場に復帰した際のエピソードなどに“天才”の人間性がわずかに判る。
この短評にはネタバレを含んでいます