ライリー・ノース 復讐の女神 (2018):映画短評
ライリー・ノース 復讐の女神 (2018)ライター3人の平均評価: 2.7
彼女を怒らせたら、たいへんなことに!
『96時間』のP・モレル監督らしい作品というべきか。ここで描かれる復讐者は、とにかく迷いがない。
最愛の夫と娘を殺された主婦の激しい怒り。それは実行犯のギャングばかりか、彼らを無罪にした判事や刑事にも向けられ、挙句の果てに警察でさえアンタッチャブルな黒幕の麻薬組織を徹底的に追い込むのだから、凄すぎる。破綻を気にしない、行けるところまで行ってやれ!的な精神こそ、本作の面白さだ。
『エイリアス』『デアデビル』でアクションヒロインとして鳴らしたJ・ガーナーが久々にこのジャンルに戻ってきたことも嬉しい。小さな意地悪に対しても、結果的に倍返しするヒロインのはじけっぷりは、ある意味、潔い。
勢いはあるんだけど、説得力に欠けるね
綿々とリメイクされる『狼よさらば』の変形バージョンで、復讐者が平凡な主婦ライリーという点がポイントか。ターゲットを順番に仕留めて、大本営に迫る展開もわかりやすい。私怨を晴らすだけでなく、スキッドロウの聖母となっている設定でヒロインの人間性を描写するのもいい。が、ライリーが不死身の女へと変貌する過程が描かれておらず、説得力に欠けるのが難点。勢いだけで突っ走りすぎ。ライリー役のJ・ガーナーのアクション演技は素晴らしく、『96時間』などのアクション活劇が好きな人なら楽しめるはず。とはいえ、映画通ならば「物足りない」とか「くだらなすぎる」と不満が残るでしょう。
ストレスが残る“殺しの美学”
ピエール・モレル監督作だけに、“ママさん版『96時間』”なのだが、最愛の夫と娘は5年前に殺害されているため、タイムリミットの面白味は皆無。しかも、怒りの制裁の始まりは、実行犯を観覧車にぶら下げるというハングマン状態にも関わらず、その過程が端折られており、いきなりテンションが下がる。ネイビーシールズの戦術や近接格闘術クラヴ・マガの要素も取り入れた『イコライザー』のキース・ウラード指導によるジェニファー・ガーナーの動きは、確かにムダはないが、まさかそこまで! 彼女を追う刑事など、ときどき笑いを誘うシーンもあるが、『レプリカズ』と同じ脚本家ということで、妙に納得してしまった。