毒戦 BELIEVER (2018):映画短評
毒戦 BELIEVER (2018)ライター2人の平均評価: 4
狂気よりウェットさが増したリメイク
同じジョニー・トー作品である『天使の眼、野獣の街』の韓国リメイク『監視者たち』でのジュノ(2PM)もそうだったが、この『毒戦』リメイク最大のポイントは、若手俳優の使い方の巧さ。ルイス・クーとは異なる、スマートなリュ・ジョンヨル演じる容疑者が放つ、掴みどころのなさ。『お嬢さん』以降、快進撃を続けるチョ・ジヌン演じるベテラン刑事とのウェットでドラマティックな駆け引きなど、人間を描いたことで、オリジナルより20分近く長尺になったといえる。また、完全にシーンをかっさらうキム・ジュヒョク、パク・チャヌク監督作の脚本家らしいオリジナルとは違う意味で静寂に包まれたラストにも注目だ。
どいつもこいつも狂っています
ジョニー・トー監督の香港ノワール『ドラッグ・ウォー 毒戦』の韓国版リメイクだが、オリジナルのストーリー的な骨組みや見せ場などを残しつつも、かなり大胆なアレンジが施されている。さらにバイオレントかつギラギラと凶暴に生まれ変わったという印象だ。主人公は麻薬組織撲滅に執念を燃やす刑事と、組織に属しながらも見捨てられた下っ端の若者。この2人が幹部ですら顔を見たことがないという正体不明のボスを捕えるため、麻薬取引の現場に潜入捜査を試みるのだが、そこは魑魅魍魎がうごめく狂気の世界だった…!というお話。韓国社会の闇を映し出すバックストーリーが、上手いことストーリーに奥行きと捻りを与えていて効果的だ。