エクストリーム・ジョブ (2019):映画短評
エクストリーム・ジョブ (2019)ライター5人の平均評価: 4
激ウマのコリアン・フライド・ムービー、開店中
日本での劇場公開から数ヶ月、いま配信で観られる新作でお薦めの筆頭に挙げられるのはコレだろう。韓国歴代興収No.1に輝くメガヒット作。ポンコツチームが奮闘する王道ひな形を調理した麻薬捜査班コメディアクションで、あのイ・ビョンホンじゃない同名監督の素晴らしき職人技が冴え渡る。
韓流ながらむしろ濃く感じるのは香港映画の血だ。『男たちの挽歌』賛に加え、全体は『Mr.Boo!』並びマイケル・ホイの後継に思える。『ホンコン・フライド・ムービー』(別邦題『新Mr.Boo!香港グワグワコケコッコ戦争』)とか。構造が盤石なのでハリウッドリメイク行きは順当ながら、水原カルビチキンの味を再現するのは難しいだろう。
2020年の初笑いにうってつけの韓流犯罪コメディ
ヘマしてばかりの落ちこぼれ麻薬捜査チームが、組織のしっぽを掴むためフライドチキン店を隠れ蓑に潜入捜査を試みる…という、『ブレイキング・バッド』の逆バージョンみたいな設定がユニークな韓流犯罪コメディ。しかも、絶対味覚を持つ捜査官の考案したカルビチキンのレシピが予想外の大評判に!店が大繁盛して潜入捜査どころではなくなってしまう。韓流ノワールの真逆を行くナンセンスな笑いが満載。その一方で、キレッキレなアクション&バイオレンスは超本格的だし、スピーディでアップテンポなストーリー展開も楽しい。なにより、香ばしい匂いまで伝わってくるようなカルビチキンがムチャクチャ美味そう(笑)!
香港映画好きならニヤリのクライマックス
2019年上半期の韓国映画界を爆走し、歴代動員No.1になったメガヒット作だが、下半期No.1の『EXIT』に比べると、かなり泥臭く、ベタでユルい笑いを楽しむ仕上がり。とにかく、“フライドチキン版『おいしい生活』”のような設定の面白さに、演出が追い付いておらず、リュ・スンリョンらがいい味出していながら、“はみ出し刑事モノ”としても快作『ベテラン』に及ばず。とはいえ、クンピョン港での『ハイロー』的大乱闘からの強引な展開、『男たちの挽歌』オマージュ大会と、香港映画好きならニヤリのクライマックスは評価したい。さすがに、この味わいはケヴィン・ハート主演のハリウッドリメイクでは出せないから!
2020年の映画初め&笑い初めに強力プッシュ!
オリジナルな物語と個性的なキャラクター設定、小気味よく笑わせてくれる台詞と全てが揃っていて、イ・ビョンホン監督の才能に感動する。バカバカしいとすら思わせる設定と意表をつく展開からの怒涛のアクションに流れ込む演出も素晴らしく、全編に亘って隙がない! 役者陣は悪役も含めてしっかりと役にハマっていて、特に素晴らしいのが“絶対味覚”の持ち主で、水原カルビチキンを生み出すマ刑事役のチン・ソンギュ。厳つい顔立ちの彼はヤクザを演じた『犯罪都市』で青龍映画祭助演男優賞を受賞しているが、コメディ演技も素晴らしい! カメレオン俳優イ・ドンフィとともに今後がますます楽しみな役者だ。見終わったらチキン店にGO!
まさにエクストリーム
潜入捜査のための仮初めの商売が大繁盛して…。
このアイデアがまず秀逸。もちろん失敗続きの刑事の意地を見せる部分や犯罪者集団の姿などシリアスな部分もありますが、それよりも何よりもから揚げを美味しく揚げるために四苦八苦する姿が記憶に残っています。
犯罪映画を見ているのになぜかお腹がすきました。