エンド・オブ・ステイツ (2019):映画短評
エンド・オブ・ステイツ (2019)ライター5人の平均評価: 3.4
加齢的な衰えに挑む主人公に肩入れ!
『エンド・オブ・ホワイトハウス』のDC爆撃はまだしも『~キングダム』の欧州首脳皆殺しはさすがにやり過ぎでは……と思えた“マイク・バニング”シリーズ。破天荒も味ではあるが、今回はリアリズムとち密さに話を振ってきた。
国家に忠誠を誓い、何度も合衆国大統領を救ってきたシークレットサービスのバニングにテロの疑惑を向けられる設定が、まずスリリング。国の敵となった彼が不自由な状況に置かれる点も巧い。
何よりリアルなのはバニングの肉体の衰えだ。シリーズを通じて試練の連続だったのだから、それも必然。人並みに老いる主人公に共感を抱くとともに、バニング当たり役となったG・バトラーへの愛着も増した。
不死身の男も第3弾ではやや息切れ
身を呈してアメリカ大統領を守るシークレット・サービス、マイクが孤軍奮闘する定番シリーズ。世界戦争にも勝利確実と思われるハイテク武器を使う民間軍事会社やベトナム戦争でPTSDを発症していたマイクの父親が登場し、物語をふくらませたのはいい。特にN・ノルティ演じる父親は笑いを加える貴重な存在だ。でもマイクは以前ほど動きのキレがよくないし、パワー不足が否めないのは、主演J・バトラーの寄る年波によるせいでしょう。個人的な意見だが、現大統領が守る価値を見出せない存在なので、シークレット・サービスの意義自体が揺らいでいるのもマイナスに働いた。
ほぼ『逃亡者』状態
ホワイトハウスにロンドンと、大統領と世界の危機を救ってきた凄腕エージェント、マイク・バニングが“堕ちた守護神=容疑者”に! ほぼ『逃亡者』であるものの、おなじみの爆発だけでなく、やりすぎドローン戦に、ロードムービーとしての醍醐味アリで、シリーズとしてのマンネリ化を打破する。『ブラッド・スローン』の骨太アクションの雄、リック・ローマン・ウォー監督の演出も冴え渡り、マイクの父に33年を経て、ガチで『ビバリーヒルズ・バム』と化したニック・ノルティを投入。このトンデモキャラの暴走が痛快すぎて、マイクの奥さんがラダ・ミッチェルからパイパー・ペラーボになろうが、どうでもよくなる(笑)。
ファンの期待に十分応えたシリーズ第3弾
ジェラルド・バトラー主演『エンド・オブ・ホワイトハウス』シリーズの第3弾。大統領暗殺未遂事件の濡れ衣を着せられた主人公バニングが、FBIと謎の暗殺組織の両方から追われつつ、自分を陥れた真犯人とその黒幕を暴くために奔走する。まあ、ストーリー展開はあらかた予想通りではあるものの、シリーズの醍醐味である重量級のアクションは健在だし、バニングと大統領の揺るぎない友情にもグッとくる。そういう意味では、ファンの期待に十分応えた作品と言えよう。バニングのイカレた父親を演じるニック・ノルティがまたいい味を出している。ランス・レディックの登場も『ホワイトハウス・ダウン』とのクロスオーバーみたいで面白い。
男たちは金より名誉よりアドレナリンを求める
シリーズのファンが見たいものを見せる。そんな心意気がファンの支持を得ているのに違いない本シリーズは、第3作も全米ヒットして、シリーズのプロデューサー、アラン・シーゲルはあと3作作りたいと発言したばかり。ファンの見たいものとはまず、最新鋭の軍事設備、激しい銃撃戦での銃弾の重量感、爆薬の圧倒的な破壊力、そのリアルさと派手さの絶妙なバランスだろう。そして何より、男たち。金のためでも名誉のためでもなく、ただアドレナリンが大量分泌されるのを味わいたい男たちのドラマなのではないか。本作でそんな男たちを演じるのは、ジェラルド・バトラーとダニー・ヒューストン。イケメンでもなく、もう若くもなく、そこがいい味。