普通は走り出す (2018):映画短評
普通は走り出す (2018)フェリーニ、アレン、渡辺紘文
全作が異色の傑作という驚異的な映画作りを続ける家内制手工房「大田原愚豚舎」。MOOSIC LAB 2018を経ての劇場公開だが、映画監督の自意識地獄巡りとして完璧な出来だ。トリプルファイヤーの怪曲群もぴったり。冒頭に流れる「中一からやり直したい」――世間に大口叩いたあと自分の身にグサッと跳ね返る、という歌詞世界がそのまま直井卓俊言う処の「ブーメラン」構造として貫かれる。
松本まりか(医者)、萩原みのり(図書館職員)ら登場の妄想ハーレム的楽しさ、映画評論家への悪態等の混沌を経て、小学校で己の初心を噛み締めるイノセンスにほろっと泣けたりも。『8 1/2』『スターダスト・メモリー』との三本立希望!
この短評にはネタバレを含んでいます