パリの恋人たち (2018):映画短評
パリの恋人たち (2018)ライター2人の平均評価: 3.5
フランス映画らしい大人向けの辛口ラブストーリー
今やフランスを代表するイケメン俳優となったフィリップ・ガレルが、ルイス・ブニュエルや父フィリップのコラボレーターでもある脚本家ジャン=クロード・カリエールとの初コンビで監督した辛口のロマンティック・コメディ。恋人マリアンヌを親友に寝取られたお人好しの青年アベルは、その8年後に未亡人となった彼女と再会して焼け棒杭に火が付くものの、同時にすっかり大人の女性に成長した親友の妹エヴから猛アプローチを受けてなびいてしまう…のだが、結局は恋愛術に長けたしたたかな女性マリアンヌの手のひらで上手いように転がされる。皮肉の効いた洒脱なユーモアがなんとも絶妙。いかにもフランスらしい恋愛映画の小品佳作だ。
フランス、それはラ・ムールの国!
フランス人の恋愛観がわかるラブストーリーだ。恋愛関係では常に女性に主導権を握られ、女性二人に振り回される主人公アベルがどことなく滑稽だし、全員のモノローグがとてもリアル。恋人の気持ちよりも自身の感情に忠実なマリアンヌと脳内イメージと現実のギャップに気づくエヴを、レティシア・カスタとリリー・R・デップがそれぞれ好演する。特に素敵なのがレティシアで、一種の魔性の女であるマリアンヌのストレートな言動は個人的には好感度大。恋人の無茶ぶりにも唯々諾々と従うアベルでないと耐えられない? 監督&主演のルイ・ガレルがプライベートも反映したのかもと妄想しながら見るのも楽しい。