あなたを、想う。 (2015):映画短評
あなたを、想う。 (2015)誰もが胸に抱く両親や故郷への郷愁を掻き立てる
今は亡き親の都合で複雑な少年・少女時代を経験した3人の男女が、大人になっても拭いきれない心の傷やわだかまり、孤独に苦しむ。あの時に親はどうしてあんな行動をとったのか、今の自分を見て親はどう思うだろうか、そして本当に親は自分のことを愛してくれていたのか。幼少期の微かな記憶を手繰り寄せながら自問自答する彼らが、暗く長いトンネルの先に光を見出し、新たな人生の一歩を踏み出すまでを描いた作品だ。どことなく寓話的な雰囲気をまとった、ノスタルジックなシルヴィア・チャンの演出は、誰もが胸に抱く両親や故郷への郷愁を掻き立てる。青い海と珊瑚礁に囲まれた緑島郷の美しい風景がまた格別。じんわりと心に沁みる映画だ。
この短評にはネタバレを含んでいます