アースクエイクバード (2019):映画短評
アースクエイクバード (2019)殺人ミステリーの装いをまとった心理ドラマ
1989年の東京を舞台に、アメリカ人女性の失踪事件を巡る謎を解き明かす作品だが、しかし殺人ミステリーはあくまでも建前であり、むしろ事件のカギを握る主人公アリシア・ヴィキャンデルの心の軌跡を辿っていく心理ドラマの趣きが強い。そこは賛否が分かれるだろう。テーマは罪の意識を背負って生きてきた女性の魂の救済。人は我が身に起きた不幸を自分の責任と考えがちだが、果たして本当にそうだろうか?と。リアルに再現された当時の日本の景色に驚くが、文化的な背景描写の正確性は原作者に日本在住の経験があるからだろう。小林直己の切れ長な目とシャープな顔立ち、逞しい体格は外国人受けするはず。佐久間良子の出演も嬉しい。
この短評にはネタバレを含んでいます