海抜 (2018):映画短評
海抜 (2018)蒼い光を放つ原石
昨年のTIFFの際に観たのだが、ダークホースと言える渋い力作で驚いた(そのあとドイツのニッポンコネクションで受賞)。城西国際大学メディア学部の卒業制作で、高橋賢成監督をはじめクルーは全員当時学生。作風は‘80年前後のATGを彷彿。焦燥感を伝える粗い画質の映像自体に詩情があり、何より青春映画を超え、多重化した「悔恨」の物語であることに慄いた。
1999年から3.11を挟んでの時代の推移も、古いモデルのガラケーを使うなど最小限の工夫で表わすのに成功している。もしここに社会それ自体の位相やリアリティの変動が連結していれば本当に凄かった。この監督、しつこく撮り続けてくれたら骨太の人材になる気がする。
この短評にはネタバレを含んでいます