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イン・ザ・ハイツ (2020):映画短評

イン・ザ・ハイツ (2020)

2021年7月30日公開 143分

イン・ザ・ハイツ
(C) 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.6

山縣みどり

支え合って夢と希望を追う移民を応援したくなる

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

ワシントンハイツを舞台にラテン系移民の愛と夢がノリのいい音楽に乗って描かれる。90年代、クロイスターズに向かう地下鉄内で緊張を強いられたほど治安の悪い場所だったけれど、現在の住民たちは明るく楽しげ。もちろん人種差別や不当な扱いを受けるといった事情や移民の世代間差も描かれるが、ご近所同士が助け合う姿は微笑ましく、感動的だ。ハイツ名所でのロケやジョン・M・チュウ監督の鮮やかな色彩感覚、圧巻のダンスシーンと全てがエネルギッシュ。ブロードウェイでも人気のA・ラモスは当然として、C・ホーキンスの歌唱力にはちょっと驚いた。ドリーマーを支援するDACA政策を強化するバイデン政権にマッチした快作だ。

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斉藤 博昭

ミュージカル映画としての魅力。そこだけは一点の曇りもない

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

まったくミュージカルに興味ない、という人は別にして、期待する観客の欲望は100%満足させる仕上がり。
住民たちの日常が手に取るようにわかるオープニングナンバーで一気に没入させ、NYのストリートやプールで実際にロケを敢行した群舞は、光や風と俳優のケミストリーも後押しし、スタジオやCGとは明らかに違う臨場感を醸し出す。特に真夏の「暑さ」の伝わり方は格別。
バスビー・バークレー、フレッド・アステアから、チタ・リヴェラなどミュージカルの遺産を現代に甦らせる「愛」と「リスペクト」も充満。移民のドラマがエモーショナルに迫ってくるかと問われれば、そこは冷静に受け止められるが、歌とダンスに凌駕される感覚だ。

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くれい響

エネルギッシュに突っ走る143分

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

実写版『リトル・マーメイド』に楽曲提供するなど、近年はディズニー仕事も多いリン=マニュエル・ミランダの代表作を映画化。うだるような猛暑の中、移民問題や人種差別にも踏み込んだ人間模様は『ドゥ・ザ・ライト・シング』感があり、若者たちの葛藤を描くあたりは『RENT』に通じるところもあるが、躍動感あふれるオープニングから143分、エネルギッシュに突っ走る。『ステップ・アップ』シリーズで注目されたジョン・M・チュウ監督だけに、音楽劇としての魅せ方も熟知しており、ミュージカル映画好きの高いハードルを超えてくるのも嬉しい。しかも、『ファイナル・プラン』では小物感満載だったアンソニー・ラモスが好演。

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森 直人

文字通り、この夏のパワームービー

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

これは絶対スクリーンで観るべし。コロナ禍直前(2019年)に撮影されたミュージカル映画が、鬱々とした世相を吹き飛ばすエネルギーを放ってくれる。NYの端っこにある小さな移民の街ワシントン・ハイツ。05年初演の人気ミュージカルを、『クレイジー・リッチ!』のジョン・M・チュウ監督が今の情勢を踏まえて映画化した。

カリブ海にのぞむ故郷のドミニカに想いを馳せる主人公ウスナビ(A・ラモス)を始め、ラティーノ中心のコミュニティとは言っても細かな多様性があり、それ以上に連帯感がある。転機を迎えた4人の若者たちを中心にした真っ直ぐな夢と葛藤と自己実現。豊穣な音楽と狂熱のダンスで彩る最新かつ王道の青春映画だ。

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猿渡 由紀

クリエイティビティと最高の音楽に酔う

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

すばらしいブロードウェイミュージカルが、映画の強みを最大限に活かして理想的な形で映像化された。この映画の主役とも言っていいワシントンハイツの街並みや人々(エキストラも街の住人を使っている)のおかげで、コミュニティのエネルギーが肌で感じられるのはそのひとつ。また、時にはグラフィックを使ってユーモアを加えたりとか、俳優たちが建物の壁を上るようなカメラワークをやってみせたりとか、とにかくイマジネーションとクリエイティビティに溢れるのだ。歌が最高なのは言うまでもなし。ブロードウェイ版から年月が経ったのに合わせ、今のアメリカを反映すべくストーリーをアップデートしたのも共感を強める。楽しさいっぱいの傑作。

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