裏アカ (2019):映画短評
裏アカ (2019)SNSをさまようブランク・ジェネレーション
SNSというツールから見える現代人の孤独の断面を、ビビッドにとらえており、興味深く見た。
承認欲求に突き動かされて始めた裏アカが、それ以上の欲求を引き起こす。出会いを経てSNSを離れ、誰かと一緒にいたいと思うのは自然な流れだが、そもそもの発端である裏アカが足を引っ張る。全編にたれこめるヒンヤリとした空気は、現代人のからっぽの心の表われのよう。それだけに、主人公ふたりが笑顔で過ごした初対面のシーンが強く印象に残る。
それにしても、『火口のふたり』に続く瀧内公美の熱演に、またも目を見張った。声の変化だけでキャラの“表”と“裏”や、周囲の人々との距離感の違いが伝わる。これは凄い。
この短評にはネタバレを含んでいます