ADVERTISEMENT
どなたでもご覧になれます

ディエゴ・マラドーナ 二つの顔 (2019):映画短評

ディエゴ・マラドーナ 二つの顔 (2019)

2021年2月5日公開 130分

ディエゴ・マラドーナ 二つの顔
(C) 2019 Scudetto Pictures Limited

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

なかざわひでゆき

堕ちた英雄の実像に肉薄する忖度なしの面白さ

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 昨年11月に惜しまれつつ亡くなったサッカー界のレジェンド、ディエゴ・マラドーナの半生に迫るドキュメンタリー。いやあ、これぞまさしく波瀾万丈!下水すら通っていないアルゼンチンの貧民街から家族の期待を背負って飛び出し、イタリアの下水とまで呼ばれた弱小クラブSSCナポリをセリエA優勝に導いた弱者のヒーローが、しかし金と名声を得た途端にセックスとドラッグとパーティに溺れる。この絵に描いたような栄光と転落の成り上がり人生を、一切の忖度なしで振り返るのだから面白くないわけがない。また、取材インタビューは音声のみを使用し、本編映像は当時の貴重な記録フィルムだけで構成されているのもファンには嬉しいだろう。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

死の知らせの後に観れば、天国と地獄の落差、伝説は鮮明となる

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

ドキュメンタリーとして正攻法の作り。気をてらわない実直さが、対象をまっすぐに伝える好結果となった。死去をふまえて観ることで、心が揺さぶられる度合いも増す。

天才が残した数々の伝説が、イタリアのセリアA時代に集約された事実がよくわかる構成で、栄光と周囲からの崇拝、そして無意識の傲慢と悲劇、さらに私生活「ディエゴ」のピュアな表情や言動と、スター選手としての「マラドーナ」、あらゆる対立要素のコントラストで、選ばれし才能の天国と地獄を実感させる。

天才がもたらした栄冠に狂喜乱舞するナポリ、ブエノスアイレスの光景には本能から圧倒されるし、80年代サポーターの、ありえない「えげつなさ」も今観ると貴重。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

光と闇に引き裂かれる天才の記録

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 昨年、惜しまれつつ世を去ったマラドーナの1980年代、イタリアのナポリでプレーしていた時代をクローズアップ。そこにドラマを見出した点に、ドキュメンタリーとしての面白さがある。

 弱小チームを最強へと導いた神がかり的な活躍。一方では、大金を稼ぐほど切り離せなくなるマフィアとのしがらみ、祖国アルゼンチンと第二の故郷イタリアの狭間でのギャップがあった。光の眩さと、闇の深さが、ひとりの人間に宿っているのが面白い。

 『AMY エイミー』でも、ひとりの天才の凄さと弱さを描いたA・カパディア監督が、同様にマラドーナ史を料理。悲劇性にはシェイクスピア劇のような凄みが宿る。

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT