さらばわが愛、北朝鮮 (2017):映画短評
さらばわが愛、北朝鮮 (2017)祖国を捨てざるを得なかった人々の強い信念と望郷の念に涙する
かつて金日成の独裁体制に反旗を翻し、雪解け時代のソ連に亡命した8人の北朝鮮人たちの足跡を追った渾身のドキュメンタリー。共産主義革命の理想を信じてモスクワの映画大学に留学したエリート青年たちは、規律の厳しい北朝鮮とは別世界の自由な空気に触れたことで、金日成の個人崇拝が急速に進む祖国に疑問を抱き、決死の覚悟でソ連へ亡命する。ある者は映画監督として、ある者は作家として成功。彼ら自身が血よりも濃いと呼ぶ友情の絆に胸打たれ、片時も脳裏から離れぬ望郷の念に涙する。ブレジネフ時代のモスクワに育った筆者にとっては、当時は漠然としか知らなかった高麗人コミュニティについての取材も興味深い。
この短評にはネタバレを含んでいます