恋する寄生虫 (2021):映画短評
恋する寄生虫 (2021)ライター2人の平均評価: 3.5
惹かれ合う、生きづらいふたり
極度の潔癖症男子と視線恐怖症女子が出会って恋に落ちる、ある意味“日本版『恋の病~潔癖なふたりのビフォーアフター』”であり、こちらもコロナ禍に観ることで感慨深い。制服&ヘッドホン姿、相変わらず食いっぷりがいい小松菜奈のMVという見方もあるなか、主人公の心情の変化はしっかり描写。どこか懐かしさも感じる映像&音楽のセンスに加え、タイトル通りの寄生虫や嘔吐など、ちょっと目を背けたくなるシーンもアリ。決して美しさだけではない悪趣味的な感覚も含め、柿本ケンサク監督による色といえるだろう。ただ、原作好きにとってはモノ足りなく、未読だとやや説明不足に感じてしまうのは事実。
恋は“病”か?“希望”か?
極端な潔癖症の男と視線恐怖症の女子高生。それぞれ、形は違うものの現代社会に上手くなじめないでいる二人の偶然の出逢いが、互いに一歩、前に進む勇気を与えあう一風変わったラブストーリー。
思わぬ形で、希望を感じることができた映画でした。
マスクで完全防備の林遣都と視線恐怖症の小松菜奈の二人の姿は偶然ではありますが、コロナ禍の現在にちょっと異常なほどにはまり、寓話なのに妙なリアリティを感じます。
そんなものも感じさせる一方で、美しくロマンティックなクリスマスラブストーリーであったりもします。