フライト・キャプテン 高度1万メートル、奇跡の実話 (2019):映画短評
フライト・キャプテン 高度1万メートル、奇跡の実話 (2019)ライター2人の平均評価: 3
簡単に終わらせない「ザ!中国仰天ニュース」
『クライマーズ』と同じく、ドラマティックな脚色&トゥーマッチなアクション演出で描いた、ホントにあった「ザ!中国仰天ニュース」。キメキメなグラサン姿のパイロット&美人すぎるCAさんの“お仕事映画”としても楽しめる前半パートに続いて展開されるのは、操縦室のフロントガラスが大破し、副操縦士が空中に投げ出されてしまうシリアスとコメディを行ったり来たりのパニック描写。予想より早く決着がついたと思いきや、プロパガンダといえるラスト30分に突入! これがあまりに蛇足すぎて、それまでの満足感が一気に興醒め。きっとアンドリュー・ラウ監督も不本意であろう仕上がり感に、★マイナス。
アンドリュー・ラウの矜恃を感じるディザスター映画
中国版ハドソン川の奇跡と話題になった事件をアンドリュー・ラウが映画化したらこうなる、と考えなくても予想はつく仕上がり。信じられないほど危険な航空機事故を軸にしたディザスター映画ではあるものの、メインとなるのは人民の力によって危機を乗り越える過程だ。チャン・ハンユー演じる機長をはじめとする乗組員や航空運輸管理局、管制塔、空軍が一丸となってチベット人を多数含む乗客の命を守ろうとする姿に中国政府を重ねようとしている。実話を誇張し、畳み掛けるような感動演出も目立つ。とはいえ、実際に頑張ったのは乗務員だけとしか思えない展開で、そこに香港人ラウの矜恃を感じた。