ミッシング・チャイルド・ビデオテープ (2024):映画短評
ミッシング・チャイルド・ビデオテープ (2024)ビデオテープ、カセットテープの手触りが余韻を残す
要点を捉えようとすると、それがなぜかすり抜けてしまう。そのもどかしい感覚がこの映画の魅力。どこかぼやけた感じ、ざらついた感触を、ビデオテープの映像、カセットテープの音声がさらに際立たせる。
物語の中心となる青年が、子供の頃に弟が行方不明になる直前にその姿を見た、という事実に囚われ続ける。失踪現場の廃墟がある山は、そこまで深くないのに、なぜかその建物に辿り着けない。主人公に同行する青年は、通常は見えないものが見えるが、彼に見えているものはスクリーンに映し出されない。そこで何が起きたのか、状況証拠だけが積み上げられていく。捕まえたいのに逃れていくものが、長く余韻を引き続ける。
この短評にはネタバレを含んでいます