トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦 (2024):映画短評
トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦 (2024)香港のラビリンス、九龍城砦が甦る
主人公は、かつて存在したが今は失われたアジアの魔窟、九龍城砦。取り壊される前、多数の人々が暮らす1980年代の九龍城砦は、昼も日光が差さず、低い天井には電線や水道管が無数にうねり、狭い路地が迷路のように続く。そんなイメージ通りの魔窟が、約10億円を投じたという巨大セットで再現され、そこに出現するのに相応しい光景と、その場所に似合う物語が描かれていく。そこに恋愛はまるでなく、人の情けと、男と男の絆の物語だけが語られていくのが清々しい。大量放出の香港映画流アクションも、この魔窟の造形を活かしたもの。登場人物が最後に独り言のように呟く「ここが無くなっても、残るものはあるだろう」の言葉が胸に響く。
この短評にはネタバレを含んでいます